東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)4号 判決
一 前掲請求の原因のうち、原告が特許権を有するその主張の発明について、被告の特許無効審判の請求から審決の成立にいたる手続、発明の要旨及び審決の理由に関する事実は当事者間に争いがない。
二 そこで、右審決に原告主張の取消事由があるか否かについて考察する。
前示一の本件発明の要旨に成立に争いのない甲第三号証(本件発明の特許公報)を併せ考えると、本件発明において、養毛料蒸発室に内蔵される養毛料吸着体は養毛料を吸着させたうえ、加熱によつて蒸発させることができるものであれば足り、その形状並びに構造を限定されていないことが認められ、一方、引用例に審決認定の記載があることは原告の争わないところであり、その記載によると、引用例の発明において、主枝体には加熱装置と中空部とが仕組まれ、中空部には取出し可能なカートリツジ(これが原告主張の薬莢あるいは取外し可能な要素に該当することは明らかである。)が収容され、それには液体その他がしみつき、加熱装置により加熱されて蒸発するようになつているから、本件発明の養毛料吸着体を内蔵する養毛料蒸発室と引用例のもののカートリツジを内蔵する中空部とは構成が一致するものと認められ、右認定に牴触する原告の主張は排斥のほかはない。
そして、本件発明の要旨と引用例の記載内容とを対比すると、両者は発明の構成が実質的に同一と考えられるとともに、本件発明において薬液の蒸発の効率を上げるため引用例のものにみない格別の手当がなされているものと解すべき論証はないから、その作用効果殊に原告主張のように薬液蒸発の効率化の点に引用例のものと格別の差異があるとは思えない。
したがつて、審決の認定、判断に原告主張のような誤りはなく、審決を違法ということはできない。
三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。